幻獣とされる麒麟とは?その能力や四神との関係、キリンとの違いまで徹底解説
幻獣として有名な「麒麟(きりん)」。麒麟はさまざまなゲームやアニメに登場し、その存在感を強く出しているイメージがあります。
また、麒麟麦酒株式会社に使われているマークもこの麒麟から来ていることで有名です。麒麟はもともと中国では瑞獣とされていて、四神との関係が深いと言われています。
そこで今回は、麒麟がどういった生物で四神との関係性ではどうなっているのか。そして、その能力や動物であるキリンとの違いまで解説していきたいと思います。
目次
幻獣「麒麟(きりん)」とは?
幻獣と言われている麒麟は中国に伝わる伝説上の動物で、瑞獣(ずいじゅう)として扱われてきました。
麒麟は太平の世(平和な世の中)が訪れているときに姿を現すと言われ、非常に高貴な生物とされています。
麒麟はゲームやアニメで見ると非常に強いというイメージがありますが、本来の麒麟は争いを極度に嫌い、地面の虫や植物を踏むことでさえ恐れるほど自然を大切にする生物なのです。
麒麟の外見としては、
- 頭は龍
- 体は鹿に似る
- 尻尾は牛の尻尾
- 馬の蹄
- 1本角
これが一般的になります。伝承によっては角が無かったりしますが、基本的には上記の姿で描かれていることが多いです。
また、麒麟は長い毛を持つ生物の中の頂点に君臨すると言われており(麒麟から毛皮を持つ生物が生まれたため)、長い毛を持つ生物すべてが麒麟に従い、抗うことは出来ないとされています。
ちなみに中国文学者である中野美代子氏は、麒麟のことを妖怪として紹介されていますね。
麒麟には種類がある
麒麟は単体だと思いがちですが、実は麒麟にはさまざまな種類があります。
- 黄→麒麟(きりん)
- 青→聳孤(しょうこ)
- 赤→炎駒(えんく)
- 白→索冥(さくめい)
- 黒→甪端(ろくたん)または角端(かくたん)
これは五行思想(ごぎょうしそう)と言われる、古代中国に端を発する自然哲学の思想に5種類の麒麟を当てはめたものになります。
五行思想は、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説を唱えているものであり、麒麟は上から土、木、火、金、水という形でそれぞれの属性に当てはめられているのです。
幻獣・麒麟が持つ能力
麒麟は幻獣と言われているように平和な世界にのみ姿を現し、しかも現すとしても天分学的確率です。
故に伝説上の動物として扱われているのです。
そんな滅多に姿を現すことがない麒麟ですが、麒麟は一体どんな能力を持っているのでしょうか。
伝承で見てみると、
- 麒麟の出す鳴き声は邪気を祓う
- 雷、嵐を起こす
- 口から火を吐く
とされています。麒麟は先ほども言いましたが、普段は非常に温厚で争いを極度に嫌います。
しかし、戦いとなれば恐ろしいほどの戦闘力になり、麒麟の内に秘める能力は強大であると言えるでしょう。
幻獣・麒麟と霊獣である四神との関係は?
中国では「四神(ししん)」と呼ばれる、東西南北の方角を司る霊獣の神話があります。麒麟もこの四神との関係性が強く、麒麟を入れた場合は五神と呼ばれることも。
- 東:青龍(せいりゅう)
- 南:朱雀(すざく)
- 西:白虎(びゃっこ)
- 北:玄武(げんぶ)
とした場合、麒麟は中央に位置すると言われています。また、麒麟は鳳凰と対になる存在とされていて、上記の四神とは別に
- 応龍(おうりゅう)
- 麒麟(きりん)
- 霊亀(れいき)
- 鳳凰(ほうおう)
で四霊(しれい)と呼ばれるのですが、これを四神とする場合もあります。
先ほどの五行思想のところでもお話しましたが、麒麟は土の属性に分類され、この四神の場合でも同じように土の属性に位置づけられています。
このことから麒麟は五行思想、そして四神もとい五神としても重要な役割を果たすほどの力を持っているということですね。
幻獣・麒麟はなぜ雷との関係が強いのか
麒麟はモンスターハンターやナルトなどで見てみると、雷や電気というイメージがかなり強いです。土属性であるならば、土に特化した能力にすればいいのになぜ雷なのでしょうか。
これはあくまでも仮説でしかありませんが、麒麟の種類のところで麒麟は色で言えば黄色だと言いました。雷も色で例えると黄色だったりするので、ここから来ている可能性はあります。
他の場合だと北欧神話に登場する「雷神トール」が農耕の守護者となっている関係で、
- 雷神トール➔「雷」の使いで「農耕の守護者=土」
- 麒麟➔「黄色」に分類され「五行思想や五神=土属性」
と重なる部分が多いために、雷属性にしたのではないかということも説としてはありました。
これ以外で雷との関係性を強くしたと言われる説は見かけなかったので、恐らく上記のどちらかの説である可能性が高いと思われます。
幻獣・麒麟と動物のキリンの違いは何?
自分たちが住むこの世界では、キリンという動物が実在しています。キリンを漢字で書くと同じように麒麟となりますが、キリンと麒麟は同一ということになるのでしょうか。
これに関しては、とある実話があるのでここで紹介したいと思います。
上野動物園の元園長である石川千代松氏が明治時代の時に象やライオンを買い付けていた時期がありました。
この時に英語で「ジラフ」と呼ばれているキリンも買い付けようとしたのですが、一億円というとんでもない値段で交渉されたので手を出すことが出来なかったのです。
石川さんは麒麟という霊獣の話を知っていたので、これを利用して
「中国の霊獣である麒麟が手に入った!」
と国に嘘をついて強引にジラフを買い付けてしまいました。
つまり、ジラフをどうしても買い付けたかったので麒麟という名前を出し、ジラフをキリンとして呼ぶようになったということでしょう。
もちろん麒麟とキリンは姿こそ似ているものの、全く違う生物の扱いになっています。
なので、キリンはあくまでも動物の一種、麒麟は伝説上の生物として分けて見るべきでしょう。
まとめ:幻獣である麒麟は殺生を嫌う聖なる生き物
今回は中国に伝わる幻獣「麒麟」について記事を書いてきました。
麒麟は瑞獣と呼ばれる伝説上の生物で、その力は神に匹敵するほどとなっています。
しかし性格としては非常に温厚で、虫や植物を踏んでしまうことでさえ恐れてしまうほどの殺生嫌いであることが分かりました。
とはいえ戦いとなれば恐ろしい戦闘力を発揮するため、伝説の生き物として考えれば神からしても相手にしたくない生物となるでしょう。