「ばばあ」と名の付く妖怪17選!(小豆婆・砂かけ婆など)
日本の妖怪の中で知られているものとして「砂かけ婆」がいます。
これは「ゲゲゲの鬼太郎」で鬼太郎を助ける味方として活躍している妖怪なので、あなたもよくご存知だと思います。
しかし、砂かけ婆以外にも「ばばあ」と名の付く妖怪は多く存在しています。
そこで今回は、砂かけ婆を含め、
- 小豆婆
- エンコ婆
- 白粉婆
- 隠れ婆
- 鍛冶婆
- 小池婆
- 古庫裏婆
- 舌長婆
- 蛇骨婆
- 砂かけ婆
- 手長婆
- 泣き婆
- 納戸婆
- 吹き消し婆
- 疱瘡婆
- みかり婆
- 柳婆
の17つの妖怪について紹介していきたいと思います。
妖怪が出てくる日本の実写映画をこちらで紹介しています。
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目次
小豆婆【小豆洗いの正体?】
出典:ピクシブ百科事典
まず最初に紹介する妖怪は「小豆婆(あずきばばあ)」になります。
別の妖怪で「小豆洗い」が居るのですが、この小豆洗いの婆バージョンだと思って頂ければ差し支えないと思います。
小豆洗いと同じで、小豆婆も小川で小豆をとぐ音を出して
「小豆を洗おうか、人を食おうか」
と聞こえてくるそうです。
小豆婆は地域によって小豆洗いの正体とする伝承もあり、別の妖怪という扱い方をしない場所もあるようです。
エンコ婆【愛媛県の河童】
2つ目に紹介する妖怪は「エンコ婆(えんこばばあ)」になります。
エンコ婆のエンコとは「河童」を指すそうで、これは愛媛県での呼び方となるようです。
なぜこのような呼ばれ方をしているのかですが、こんな伝承があります。
小川に男の子がうずくまっているところをおばあさんが発見します。
おばあさんが男の子に話しかけると、男の子が逆さにおんぶしてほしいと言ってきたためおんぶしたそうです。
しかし、その男の子の正体が河童で、おばあさんは河童に憑りつかれてしまい、家で寝込んでしまいます。
住民がこれは一大事として、お湯をおばあさんにかけたところ、河童は離れて自身の悪事を反省。
その後におばあさんに対して魚を届けるようになったそうで、これがエンコ婆と言われる所以になったそうです。
白粉婆【顔を白く塗りたくった妖怪】
出典:Wikipedia
3つ目に紹介する妖怪は「白粉婆(おしろいばばあ)」になります。
白粉婆は鏡を引きずりながら現れる妖怪で、顔に白粉を塗りたくっていて、その顔を見た人は恐怖を覚えてしまうと言われています。
鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に載っている白粉婆は、
- 腰がかなり曲がっている
- 大きな破れ傘を頭に被っている
- 右手に杖を持っている
- 左手に酒徳利(さかどっくり:酒を入れる容器)を持っている
という形で描かれています。
奈良県の長谷寺では、井戸端で米をといでいた白粉婆が食事に困った画僧たちを救った伝承があり、これによって画僧たちが奮起して長谷寺の観音菩薩の大画像が完成し、境内に白粉婆の堂を作ってその中にその老婆を祀っています。
隠れ婆【夕方まで遊ぶ子供をさらう妖怪】
出典:Wikipedia
4つ目に紹介する妖怪は「隠れ婆(かくればばあ)」になります。
隠れ婆は道端や路地の隅に立っており、夕方にかくれんぼなどで遊んでいる子供を見つけては、その子供をさらってしまうと言われています。
隠れ婆の名前の元になっているのは「隠し神(かくしがみ)」で、隠れ婆というのは兵庫県での呼ばれ方です。
兵庫県では子供に対して、
「夕方までかくれんぼして遊んでいたら隠れ婆に連れ去られるぞ」
と言って戒められていたんだとか。
鍛冶婆【鍋を被った白き狼】
出典:Wikipedia
5つ目に紹介する妖怪は「鍛冶婆(かじがばばあ)」になります。
鍛冶婆は高知県に伝わる妖怪で「鍛冶が嬶(かじがかか)」や「鍛冶が媼(かじがばば)」とも言われたりします。
姿は人間というよりも白き狼の見た目で、頭に被った鍋が特徴的です。
伝承としては、陣痛が起きて動けなくなった女性が狼に襲われそうになった時に、飛脚(物を輸送する職業に従事している人のこと)が現れて女性を木の上へ逃がします。
狼たちは飛脚と戦うもなかなか倒すことが出来ず、狼たちは「佐喜浜の鍛冶嬶を呼べ」と言い出し、しばらく経つと一際大きな白い狼が現れて飛脚に襲い掛かります。
鍛冶嬶は飛脚に自身の鍋を割られて人間のような声を出して逃げだし、飛脚が鍛冶嬶のあとを追っていきます。
佐喜浜の鍛冶屋へ辿り着いた飛脚は、お宅に嬶はいないかと尋ねると頭に傷を負って寝込んでいると聞き、嬶の元へ行くと嬶を討伐したところ、そこには大量の人骨があったそうです。
小池婆【茶釜を被った巨大な猫】
出典:ピクシブ百科事典
6つ目に紹介する妖怪は「小池婆(こいけばばあ)」になります。小池婆は先ほどの「鍛冶婆」の猫バージョンだと思ってもらえれば分かりやすいと思います。
小池婆は島根県松江市に伝わる伝説になります。
松江の小池という武家に仕える、ある男が居ました。正月休みに里帰りをして主の元へ帰っていたところ、狼の群れに遭遇してしまい、傍にあった大木によじ登って逃げました。
狼たちは肩車で男に襲い掛かろうとしますが、高さが足りずに苦労します。
そこで一番上にいた狼が「小池婆を呼んで来い」と吠えました。すると、巨大な猫が現れて男に襲い掛かります。
男は応戦して持っていた刀で猫の眉間に斬りつけ、猫は狼たちと共に逃げていきました。
男はその際に身に覚えのある茶釜を見つけて主の元へと届け、先ほど起きた事件を話しました。
主の母が額に大怪我をして布団を被って呻いていたので、主は母を疑って布団の上から刀で突き刺します。
すると、そこには老いた猫が死骸となって倒れていたそうです。
古庫裏婆【寺の庫裏に住んで屍を食べる妖怪】
出典:Wikipedia
7つ目に紹介する妖怪は「古庫裏婆(こくりばばあ)」になります。
古庫裏婆は鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』の中に載っている妖怪の一つで、寺の庫裏に住むと言われています。
寺の庫裏に住み着き、寺の供え物であるお米やお金を食ったり盗んだりしており、さらには寺が管理する墓に行ってその屍を掘り起こし、その屍の皮を剥いで喰っていたとまであります。
古庫裏婆という名前は、鬼や恐ろしいものに例えられる「むくりこくり」から取られたのではないかとの説があります。
舌長婆【長い舌で人間を舐め殺す妖怪】
出典:ピクシブ百科事典
8つ目に紹介する妖怪は「舌長婆(したながばばあ)」になります。
芦野原街道の諏訪千本の松原に現れた妖怪で、1.5メートルという長い舌を持ちます。
ターゲットにした人間を眠らせて、その長い舌で対象を嘗め尽くし、肉を喰らうとされています。
この妖怪は単体で襲う場合もあれば、朱の盆と呼ばれる妖怪と組み、朱の盆が傍に居る人間の気を引き、その間に舌長婆がターゲットを誘拐して殺してしまうこともあります。
朱の盆自体も相手を驚かせて死なせてしまう妖怪なので、非常に厄介なタッグであると言えます。
朱の盆に関して書いている記事はこちら
➔日本の怖い妖怪ランキングTOP15!最強最悪の妖怪とはどんな強さかまとめてみた
蛇骨婆【両手に蛇を持つ妖怪】
出典:Wikipedia
9つ目に紹介する妖怪は「蛇骨婆(じゃこつばばあ)」になります。
蛇骨婆は「蛇五婆(じゃごばあ)」とも呼ばれ、外見としては大蛇を体に巻き付けているのが特徴です。
さらに、左手には赤い蛇を、右手には青い蛇を持っているとされ、これは中国大陸の「巫咸国」に上記の人が居ると言われており、これが蛇骨婆なのではないかと鳥山石燕は語っています。
特に人間に対して危害を加えるような話は無いようです。
砂かけ婆【砂を振りかけて驚かす妖怪】
出典:ピクシブ百科事典
10個目に紹介する妖怪は「砂かけ婆(すなかけばばあ)」になります。
砂かけ婆とは冒頭でもお伝えしたように、「ゲゲゲの鬼太郎」においては「砂かけババア」という名前でメインキャラクターとなっており、知らない人は居ないでしょう。
砂かけ婆は奈良県や兵庫県などに伝わる妖怪で、実際に砂かけ婆を目撃したという話があります。
砂かけ婆は人気が少ない森の中に潜んでいると言われており、そこを人が通ると砂をかけて驚かすといったことをしてくるとされています。
砂をかけてくるだけで、人間に対しては特に危害を加えるというような妖怪ではないとのこと。
手長婆【水中に居る腕が長い妖怪】
出典:ピクシブ百科事典
11個目に紹介する妖怪は「手長婆(てながばばあ)」になります。
手長婆は関東、または青森に伝わる妖怪で、その名の通り腕が長いという特徴があります。
普段は水中に居ると言われており、川や海辺で遊んでいる子供に対して腕を伸ばし「海の中に引きずり込むぞ」と言い、子供を引きずり込もうとするそうです。
しかし、これは子供に対して危害を加えたいのではなく、子供が海辺のような危ない場所で遊ばないようにさせるのが目的とされています。
簡単に言えば、海の怖さを教えてあげようとしている妖怪だと言えるでしょう。
泣き婆【家の前で泣いて不幸をもたらす妖怪】
出典:Wikipedia
12個目に紹介する妖怪は「泣き婆(なきばばあ)」になります。
泣き婆は静岡県磐田市に現れた妖怪とされており、特にこれといった特徴があるわけではありませんが、不幸を呼ぶ妖怪として認知されているようです。
ある家の玄関前でこの老婆が泣いており、それを見た住民が老婆につられて涙を流し、やがてこの光景が繰り返されるとその家に不幸が訪れてしまうというのです。
しかし一方で、妖怪漫画家の水木しげる氏によれば、葬儀の際にこの妖怪が現れて一緒に泣いてくれるとし、それにつられた親族たちが涙して良い葬儀になるんだとか。
そして、その老婆に対して謝礼として米を渡すということがあったと言われています。
書く人によっては、泣き婆を良い妖怪とする場合と悪い妖怪とする場合があるようです。
納戸婆【納戸に住み着く家の守り神?】
出典:ピクシブ百科事典
13個目に紹介する妖怪は「納戸婆(なんどばばあ)」になります。
納戸婆は西日本に伝わる妖怪で、家の納戸に住み着いていると言われています。
伝承の多くは、家の納戸を掃除しようとすると中から飛び出して床下へ逃げ込むとされていて、時に納戸の近くを通った住人に対して納戸から飛び出して驚かすそうです。
しかし、西日本では納戸に神様を祀ることが多いそうで、この神様こそが納戸婆なんだとか。つまり、納戸婆を納戸の神様として祀り、家の守り神になっているということです。
吹き消し婆【提灯や行灯の火を消す妖怪】
出典:Wikipedia
14個目に紹介する妖怪は「吹き消し婆(ふきけしばばあ)」になります。
吹き消し婆は「火消婆(ひけしばば)」が元となっている名前で、鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」に描かれている妖怪の一つです。
吹き消し婆は人の家の中で点いている提灯や行灯の火を消す妖怪で、妖怪の多くは灯りを嫌うという話があり、この吹き消し婆はその灯りを吹き消すためにいるような妖怪だそうです。
宴会で灯りを灯している時に吹き消し婆が現れて火を消してしまうので、正直迷惑な妖怪だと思います。
疱瘡婆【天然痘を流行らせて喰った妖怪?】
出典:Wikipedia
15個目に紹介する妖怪は「疱瘡婆(ほうそうばばあ)」になります。
疱瘡婆は江戸時代の文学者である只野真葛の著書「奥州波奈志」に書かれている妖怪で、宮城県に天然痘を流行らせて、天然痘に罹った人間を喰っていたと言われています。
宮城県で疱瘡が流行して多くの犠牲者が出た時、その病死者のお墓を荒らされて遺体が消えたり、その遺体が喰われている跡があったのですが、魔除けをしても繰り返し同様の事件が起こりました。
そんな状況に対して人々の間では
「疱瘡婆が病死者を喰う為に疱瘡を流行らせたのではないか」
という噂が流れました。疱瘡婆の外見は不明ですが、ある一説によれば
- 顔が赤い
- 頭が白髪で覆われている
- 身長が3メートル
という話があり、それは人間ならざるものであるとして、これが疱瘡婆であるとされています。
みかり婆【人間の目を借りていく妖怪】
出典:Wikipedia
16個目に紹介する妖怪は「みかり婆(みかりばばあ)」になります。
みかり婆は関東に伝わる妖怪で、姿は一つ目が特徴とされており、みかり婆は旧暦の12月8日か2月8日に一つ目小僧と共に家へやってきて、箕や人間の目を借りていくと言われています。
他にも目を借りていくだけではなく、土に落ちた米粒を拾って火事を起こしたりするので、みかり婆に対する対策として目籠(めかご)を屋根の一番高いところに置いといたりして上記の日を過ごすそうです。
これはみかり婆の目が一つしかないため、たくさんの目を見てしまうと恐怖して逃げるからなんだとか。
柳婆【柳の木がもたらす怪異】
出典:Wikipedia
最後に紹介する妖怪は「柳婆(やなぎばばあ)」になります。
柳婆は江戸時代の奇談集である「絵本百物語」に載っている妖怪で、これは柳婆という妖怪がいるのではなく、怪異を起こす柳があり、その柳が老婆に姿を変えることがあるところから出来た名前のようです。
茨城県鉾田市には昔、樹齢1000年以上となる柳の木が存在していたそうで、この柳の木が、
- 美女となって人を惑わす
- 老婆に姿を変えて道行く人に声をかける
として、人々に対して様々な怪異を引き起こしていたそうです。
樹齢1000年以上の木ともなれば、やはり人知を超えるような力を持っているということなのでしょう。
まとめ:「ばばあ」の名が付く妖怪のほとんどは人を喰う特徴がある
今回は「ばばあ」の名が付く妖怪を17個紹介してきました。
どれも恐ろしい妖怪ばかりで、基本的には人を喰ってしまうという特徴があったように思います。
ただ、中には人を守る妖怪や戒めの為にわざとそういった行動をする妖怪もいたので、一概には悪い妖怪ばかりではないとも言えます。
ですが、現実世界に今回挙げたような妖怪が居るとしたら、やはり出会う事だけは避けたくなりますね。
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