【妖怪】大百足(オオムカデ)退治の伝承とは?龍でも勝てないくらい強い?
日本の妖怪関係の伝承の中で、巨大な存在を退治する伝説が多く存在しています。その中で「大百足(オオムカデ)」と呼ばれる妖怪は、平将門を討ったあの藤原秀郷によって退治されたという話で有名です。
また、大百足は龍や大蛇と言った神の存在に対して、互角に渡り合うという強さを持っていたと言われています。
そこで今回は、そんな龍や大蛇にも引けを取らない強さを持っていた大百足を退治した藤原秀郷の伝承について詳しく解説していきたいと思います。
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目次
大百足は龍や大蛇と互角に渡り合うくらいに強い妖怪?
大百足は大きさとしては巨大であり、冒頭でも言っているように、あの龍や大蛇と言われる神に対して互角に渡り合うとされています。特に1対1のサシでは、龍は大百足に勝てないという伝承もあります。
また、大百足の体は非常に硬く、並大抵の武器や力では傷一つ付けられないそうです。さらに、その大きさに似合わず動きは素早くて強力な毒も持ち合わせている事から、非常に強い力を持っていると言えます。
しかし、それほどまでに強い力を持っている大百足でも勝てなかった相手がいて、それが藤原秀郷です。藤原秀郷は平将門を討った武将として有名ですが、若い時にこの大百足も退治したという伝説があるのです。
大百足の妖怪退治の伝承とは?
大百足を退治した藤原秀郷の伝承は「俵藤太絵巻」という書物に書かれている内容で、俵藤太とは藤原秀郷の別名で呼ばれていたものです。
この俵藤太絵巻には「上巻」「中巻」「下巻」があり、その中の「上巻」に龍神の一族からの依頼で大百足を退治し、竜宮に案内されて俵を貰うという物語が記されています。
ここではメインの話である大百足退治について紹介していきたいと思います。
俵藤太が大蛇を退治するために滋賀へ向かう
俵藤太はある時、滋賀県にある瀬田の唐橋にて大蛇が現れて人々が橋を渡れなくなったとという話を聞きつけ、その大蛇を退治するためにその橋へ向かいました。
瀬田の唐橋にやってくると、大蛇が橋に横たわってとおせんぼうしている光景に出くわします。
人々が大蛇に恐れて動けない中、その大蛇の腹の上を堂々と歩いて渡っていきました。
大蛇を退治するためにやってきた藤太ですが、その大蛇の上を渡っただけで退治するということはしていません。
龍神に頼まれて大百足を退治することになる
大蛇の上を渡るという堂々たる姿を見せた藤太ですが、その夜に自身の家にある美しい女性がやってきます。
その女性は琵琶湖に住む龍神の娘で、昼間の大蛇は自身が化けていたと告白しました。
大蛇に化けていた理由は、三上山に七巻き半するほどの巨大な大百足が出現し、その大百足を退治してくれそうな勇者を探していたためであると言います。
その大百足に龍神の一族が迫害を受けているとのことで、藤太は大百足の退治を承諾。いざ大百足の討伐のため、武器である弓矢を担いで三上山へと向かいました。
弱点の唾を矢に塗って大百足を退治する
三上山に着いてみるとそこには確かに、
- 七巻き半するほどの巨大さ
- 赤く輝く2000本の脚
- 武器が通用しないくらいに硬そうな外殻
といった外観を持つ大百足が待ち構えていました。藤太は担いできた矢で大百足に射掛けますが、大百足にダメージを与えることが出来ません。
この時に藤太は矢を3本しか所持しておらず、1.2回目は失敗に終わり、最後の矢となってしまいます。
万事休すかと思われた時、藤太は百足は人間の唾が弱点であるという話を思い出し、最後の矢に自身の唾液を塗って八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)に祈って矢を放ちました。
すると放った矢は大百足の脳天に命中し、大百足は絶命。藤太は見事に大百足の退治に成功しました。そして大百足は死ぬ前に、
「俺は七巻き半、奴は八巻き・・・」
と吐き捨てたと言います。
ちなみに基本的な物語はここまでですが、御伽草子(おとぎぞうし)では大百足に唾を塗った矢を放って討伐したあと、その大百足の身体を刀でズタズタに切り裂いたと記されているそうです。
ゲゲゲの鬼太郎では大百足は鎧武者を操る妖怪として登場する
大百足はアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場する妖怪です。
第3期73話「シーサー登場!!沖縄大決戦」で、サトウキビを栽培していたキムジナーが妖怪に襲われて畑が荒らされてしまい、鬼太郎に助けを求めるという話から物語は展開していきます。
そして、このキムジナーを襲った妖怪というのが大百足であるという形になります。
この際に大百足は鎧武者の大軍を操る能力を持っており、さらに何でも溶かしてしまう酸攻撃もありました。
ねずみ男を人質にとって鬼太郎たちを苦しめた大百足ですが、最後はキムジナーの渾身の攻撃によって腹に穴が空き、自身の酸によって消滅してしまいます。
大百足は伝承にあるような大きさではなく、能力も指揮官的な物となっていて酸攻撃があるという感じで、ここに関してはゲゲゲの鬼太郎でのオリジナルという形になりますね。
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妖怪ではないがギリシャ神話の神の名前にちなんだオオムカデがいる
今回紹介している大百足は妖怪ですが、オオムカデというもの自体は存在します。2021年4月13日に、東京都立大学、法政大学、国立科学博物館の研究チームが143年ぶりに沖縄で新種のオオムカデを発見したとして話題を呼びました。
その際に付けられた名前は、青緑色の体色が美しいその姿から、ギリシャ神話に登場する女神「アルキオーネ」にちなんで「Scolopendra alcyona(学名)」となりました。
そして和名で言うと、このオオムカデは沖縄の4地域で発見されたため、沖縄の故事にちなんで「琉神大百足(リュウジンオオムカデ)」と名付けられています。
そして気になる大きさですが、体長は約20㎝で幅は約2㎝となっていて、これは国内最大級の大きさになります。
一応写真などはあるのですが、虫が苦手な方も居ると思われるので、あえてここでは載せません。気になる方は下記の琉球大学の公式サイトからご覧ください。
まとめ:大百足は龍や大蛇に勝てても藤原秀郷には敵わなかった妖怪
今回は、巨大なムカデの妖怪である「大百足」について記事を書いてきました。大百足は龍や大蛇を倒すほどの強い力を持っていながら、人間である藤原秀郷に負けるという屈辱を味わった妖怪でした。
また大百足はアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」でも登場し、ゲゲゲの鬼太郎では鎧武者の軍団を指揮する妖怪となっており、何でも溶かす酸攻撃もできることから能力としては高く設定されています。
そして現代においてもオオムカデは存在し、新種として見つかった「琉神大百足(リュウジンオオムカデ)」は国内最大級の大きさを誇っていて、学名である「Scolopendra alcyona」はギリシャ神話の女神「アルキオーネ」にちなんでつけられたことから、神話繋がりで考えると感慨深いと言えるでしょう。
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